Team PowerNavi 小野心インタビュー

 

Team PowerNavi 小野心 インタビュー

小野心

小野心(おのしん)
1982年12月27日生まれ・神奈川県出身
中学3年の時にボクサーを志し、横浜の花形ボクシングジムに入門する。17歳でプロテスト合格。2012年、五反田のワタナベジムに移籍。2013年1月、オーストラリアのオマリー・キムウェリを12R判定勝ちで下し、東洋太平洋ライトフライ級王者の座を獲得。23戦16勝2KO 5敗2分
ブログ:東洋太平洋ライトフライ級チャンピオン 小野心のブログ

世界王者を目指し、躍進を続けるプロボクサー小野心。試合前には1週間で5kgもの減量を余儀なくされることも。体重を増やすことなく、体力・持久力を高める秘訣は。PowerNaviは彼のトレーニングスタイルをどう変えたのか。小野心がその過酷な日々について語った。

2013年5月23日取材
文・写真:土屋勝

1週間で5kgの減量、ボクサーの過酷なトレーニング 1

東洋太平洋ライトフライ級王者 小野心に聞く

小野心
オマリー・キムウェリを倒し、東洋太平洋王者に

ボクシングといえば過酷なトレーニング、中でも試合前の減量の厳しさで知られている。プロボクサーは体重別で17段階に階級が分かれており、試合前日の計量でその階級の体重に入ってないと失格になってしまうからだ。減量の苦しさはマンガ「あしたのジョー」や映画「ロッキー」でおなじみだろう。

小野選手は47.63~48.99kgのライトフライ級に属する。身長162cmの男性にとっては、49kgというのはかなり軽い範疇に入る。さすがに1年中その体重というわけではない。試合の無いトレーニング時期には5kgぐらいは体重が増えてしまうため、試合前にその分を減量しなければならない。トレーニング期であっても体脂肪率は10パーセントを下回っている。つまり体脂肪をゼロにしても5kg減らす余裕はないのだ。もちろん試合直前に筋肉を減らすわけにはいかない。最終的には水分を減らして軽くするしか無い。

最後の2日間は、水分を絞り出して一気に減量

計量の2日前ぐらいになると水を極力取らないようにし、汗をかいて体重を減らす。どれだけ辛いことだろうか。人体の60パーセントぐらいが水分だが、6パーセント失われただけで頭痛、脱力感などに襲われ、10パーセント不足すると筋肉の痙攣が起こる。そして20パーセント不足すると死に至るという。つまり体重50kgの小野選手の場合、水分は30kgぐらい。そこから5kgを水分だけで減らそうとすると16パーセントの脱水ということで、相当危険な行為なのだ。プロボクサーでも減量の失敗で脱水症状に陥り、試合を棄権してしまった例がある。もちろんボクサーの減量はトレーナーの指導のもと、命に関わるようなことが起こらないように慎重に行われる。

慣れてくると、そんなに苦労せずに5kg減量できるように

計量にパスすれば後は食べまくる。「1日で3kgは増えてしまいます」。翌日の試合に備えて体力増強だ。対戦相手も同じように減量に苦しみ、それに打ち勝ってリングに上がってくる。重量別クラスに分かれているスポーツでは、どれも同じ苦労をするのだろう。

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