ワールドカップでの3回にわたる年間チャンピオンを獲得した野口啓代選手、国内ではさらにすごい記録を更新し続けている。ボルダリングジャパンカップでの開幕以来9連覇という成績だ。
「私が16歳の時に始まり、第1回から出ているのですが、ずっと優勝できています」
日本代表選手が競うジャパンカップで9連覇という記録は、2度と出ないだろう。来年のジャパンカップでは、当然10連覇を目指している。
「岩場に行きたいという気持ちもだいぶあるのですが、周りからも期待されているので、出る方向で考えています」
しかし、ボルダリングジャパンカップでの10連勝は、そんなに簡単ではないという。若手が続々と伸びてきている。中でも注目株は野中生萌選手だろう。今年2月、The North Face Cup2014本戦はスーパーファイナルまでもつれ込み、野口選手が優勝、野中選手が準優勝という結果になった。それから4か月後、フランス・ラヴァルでのワールドカップ最終戦。これまた野口選手と野中選手が優勝をかけて熾烈な戦いを繰り広げ、一時は野中選手の方が優位に立っていた。
「3課題目ぐらいまで生萌ちゃんの方が上で、4課題目で私が逆転したと思います。彼女の成長はすごいですね。半年とかでがらっと変わってしまいました」
最終的に野口選手が優勝し、野中選手が準優勝。日本人女子二人が表彰台に立った。他の日本選手のレベルアップも進んでいる。
「一人、二人、すごく強い選手が出てくると、後にどんどん強い選手が続いて出てきます。私がクライミングを初めたころ、ワールドカップで日本人が優勝するなんて、この先ずっとないと思ってました。それが今ではボルダーでは生萌ちゃんや堀君(堀創選手)、レイ君(杉本怜選手)。リードではサチ(安間佐千選手)が年間優勝していて、桃ちゃん(小田桃花選手)とか理彩ちゃん(太田理彩選手)とか。どの種目においても優勝狙える選手がいて、全カテゴリーに優勝経験者がいます。どんどん後に続く選手が出てくると思います」
今年のアジア選手権大会はインドネシアのロンボク島で開催され、日本人選手とともに韓国、インドネシア、イランなどの選手が上位に進出した。アジアの他の国はどうなのだろうか。
「今年はアジア選手権に出てないのでよく分かりませんが、出場した選手の話を聞くとアジア各国でもレベルが上がってきているようです。まだワールドカップにはほとんど出てきませんが、シンガポールやマレーシアでも、大きな大会となると1大会に800人とか参加しているということで、盛り上がっているようです」
ところで、日本のクライミング界に野口選手が期待することはなんだろうか。
「言い出したらキリが無いですが・・・ 今年はワールドカップ・リードが印西で行われますが、ボルダーとリード、両方の大会を日本で1戦ずつ開催して欲しいですね。でも、なかなか場所が無いそうです。また、ワールドカップの練習ができるジムも少ないです。リードでは国際ルールで決まっているワールドカップ級の高さ(最低12m)の壁とか、5.14bとか5.14cの課題は少ないです。ボルダーだとハリボテを使う課題やダブルダイノの課題とかがたくさん出るのですが、そういった課題だけが壁に付いているジムはありません。営業的にはきびしいのでしょうし、他の国でも少ないと思いますが、コンペのことだけ考えたらそういうジムが欲しいです」
来年の目標としては、当然ボルダリング・ジャパンカップでの10連覇達成、そしてワールドカップがある。また、スペインやアメリカなど岩場での高グレードルート挑戦も控えている。
「来年もボルダリング・ワールドカップには参戦したいと思っています。ただ、これからは岩場での活動も増やしたいので、リードは出ないかもしれません。7月〜8月にボルダリング・ワールドカップが終わるので、その後、岩場行けたらと思っています。スペイン、アメリカ… 日本でも、行ったことのない岩場ばかりなので、どこへ行っても楽しめると思います」
野口選手はPowerNavi BCAAを2008年から飲んでいる。印西ワールドカップでも、準決勝が終わって選手控えエリアに戻ってきたとき、さっそくBCAAを飲んでいた。
「いつも飲んでいます。海外にも持って行ってます。登った後で飲んでいますね」
どうもありがとうございました。
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