多くのスポーツでは試合のシーズンとトレーニングのシーズン、それにオフのシーズンが分かれている。選手は試合のスケジュールを前提に基礎トレーニングや実践的トレーニングを積み重ね、ベストな状態に持っていく。
だがボクシング、特にプロボクシングでは試合シーズンといったものは存在しない。チャンピオンになると3か月以内に防衛戦をやることが義務付けられるが、チャレンジャーの段階では対戦相手が見つからず、半年~1年間試合がないこともあり得る。
だから、日々のトレーニングで常に身体を鍛えておき、試合が決まったらそれに向けて細かく調整していく。
試合が続くことはないから、試合の直後はしばらくのんびりできる。特に小野選手は1月の東洋太平洋チャンピオンシップで左手親指の腱を切ってしまい、2度に渡る手術を余儀なくされた。場所が場所だけにその間、グローブははめられない。
「これまで骨折もしたことないので、はじめての療養生活でした」と小野選手は恥ずかしそうに語った。グローブがはめられないからと言って、ここでサボっていては身体がなまってしまう。パンチに関係ないロードワークや基礎的なトレーニングを続けることで筋肉と体重の維持を図り、試合のビデオを見て問題箇所を反省するなど、次の試合に向けての準備を重ねた。
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