ストリートやアールにおけるスケートボードの大会は、決められた区画とセクションを使用し、制限時間内でトリックを競い合うもの。スケーターに求められるのは、主にトリックの難易度と成功率である。ジャッジ(審査員)は複数おり、各スケーターのスケーティング(滑走)を見つつ審査を行う。最終的にこれを集計し、得点の高い者が上位となる。
しかし、各トリック自体に得点があらかじめ決まっているわけではなく、あくまでもジャッジ一人一人自身の印象値に因るところがある。トリックの成功率が低くても、ジャッジや会場を沸かすことにより特別賞などといった結果を得られることもある。
採点方法もまちまちで、トリックを決める度に得点を加算する方式や、持ち点が決められており最終的に持ち点分の何点であるかを計る方式などがある。
また、大会によってはA・B・Cクラスなどのクラス分けもなされている。Aクラスに最も上級者が集い、自身のレベルに応じて各スケーター個人が適切なクラスにエントリーをする。その他、ガールズやキッズのエントリー可能な大会では、性別や年齢でクラス分けを実施する。また、大会によってはスケーターが1人ずつスケーティングを行うところもあれば、ジャムセッションと呼ばれる複数でのスケーティングで予選などを行うこともある。
ちなみに2008年に鵠沼で開催されたキッズのコンテストに、裕磨くんはジャッジとして呼ばれ、審査に参加した経験もある。
2009年5月23日、稲城市多摩梨パークでskatergirl!! 設立1周年を記念してONE MAGICというスケートボードコンテストが行われた。この大会では、Mens、Kids、Ladysの3クラスに分かれており、裕磨くんはMensクラスでの出場。多摩梨パークにはバンク、バンクトゥバンク、クウォーター、カーブ、レール、ミニランプなどのセクションが設置されているが、今回の大会ではミニランプは使用せず、それ以外のセクションを用いてのスケーティングとなった。持ち時間は1人1分間。
「ミニランプは使えなくてちょっと残念だけど、とにかく楽しくスケートができれば言う事無しですね」
そう大会前に裕磨くんは語った。
今大会のMensクラスでは最年少にも関わらず、落ち着いた状態で大会に臨んでいた。セクションを巧みに使い、出場者の誰よりも流れるようにスケボーをしていた。予選も上位で通過し、まずまずの結果を残した。
「本戦では、もっと皆を沸かせることができると思いますよ」
と予選通過後には気になる一言を漏らしていた。
本戦でも、予選と変わらず安定感のあるスケーティングを見せていた。そして残り時間が30秒を切った頃、おもむろにデッキを交換した。そのデッキは通常のものよりも半分以下のサイズで、足を揃えなければ乗れない程小さい。後に聞いたところ、使い古したデッキを加工して作ったもので、市販のものではないらしい。それから残り時間、そのミニデッキを使い観客を圧倒させた。ミニデッキでレールにボードスライドしたのは一同驚愕だった。ミニデッキでは足をほとんど閉じ、直立した状態で維持しなければならないので、普通サイズのデッキよりも高度なバランス感覚が必要になってくる。このパフォーマンスがジャッジにプラスに影響したのだろうか。結果、裕磨くんは優勝を果たした。
「僕自身、優勝にはビックリです。楽しくスケボーができれば良かったので。優勝はもちろん嬉しいですが、今日は本当に楽しかった。満足してます」
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