菊地敏之

菊地敏之(きくちとしゆき) ニックネームは「ガメラ」
1960年生まれ
10代半ばよりクライミングを始め、アルパイン、フリーの両面で活躍。フリークライミングでは国内、ヨーロッパ、アメリカなどで多数の5.13ルートを登攀する他、ロングルートやトラディショナルの分野にも多くの経験を持つ。ケガや故障も多く、今までも何度も沈と復帰を繰り返してきた。現在日本アルパイン・ガイド協会公認ガイドとして、広くクライミングの指導にあたる。元『クライミンング・ジャーナル』編集長、元オペル冒険大賞事務局長。著書に『クライマーズ・ボディ』『最新クライミング技術』『我々はいかに石にかじりついてきたか』(いずれも東京新聞出版局刊)など。
公式サイト:
菊地敏之 クライミングスクール&ガイド

用語解説
*1 クライミング:岩や氷、人工壁などを登ること。自分の手足の力だけで、他に道具を使わずに登ることをフリークライミングといい、安全確保のために安全ベルト(ハーネス)・命綱(ロープ)を使用するリードクライミングと、ロープなしに比較的低い(3m〜5m)壁を登るボルダリングとがある。アルパインクライミングは整備されていない山の岸壁や氷壁を登ることで、部分的には縄ばしご(あぶみ)をかけるなど、道具を使うこともある。

*2 ムーブ:腕、足、身体の振り方などクライミングにおける一連の動作のこと。

*3 5.xx:フリークライミングルートの難易度を表す表記法。左側の「5」がロープを必要とするフリークライミングを意味し、右側の数値が難易度を示す。5.6、5.7、5.8と数字が増えるほど難しくなり、5.10以降は5.10a、5.10b、5.10c、5.10d、5.11aとさらにabcdを付けて細かく分けている。現在、世界でもっとも難しいルートはアメリカにある「ジャンボ・ラブ」の5.15b、日本最難ルートは秩父の二子山にある「フラットマウンテン」の5.14d/15a。

菊地敏之氏講演会 『クライマーズ・ボディの造り方』 1

クライマーズ・ボディの造り方講演会
ちよだプラットホームスクエアの会場を埋めた参加者
2008年10月20日(月)、PowerNavi BCAAの発売1周年を記念して『クライマーズ・ボディ』などの著書がある菊地敏之氏を講師に迎え、「クライマーズ・ボディの造り方」というタイトルで講演を開催しました。
今回、その講演の内容をダイジェストしてお送りします。

2008年11月15日公開
文・写真/土屋勝

クライミングガイドの菊地です。よろしくお願いします。今日はトレーニングとボディケア、そしてサプリメントその他栄養などについてお話しします。

クライミングのトレーニング

筋肉より神経系を発達させよう

 クライミング(*1)のトレーニングで悩んでいて、どうやればいいか分からない人が非常に多いと思います。それに関しておしなべて私が思うに、皆さん負荷が高すぎます。

 クライミングに限らず、最近重要視されているトレーニング方法は筋肉とか力とかではなく、神経なんです。運動神経というと持って生まれたもののように思えますが、これは実は外からの刺激、つまり運動の動きによって作り上げられるものだそうです。そういった意味で、神経系のトレーニングが今、スポーツの世界では非常に重要視されています。

ボルダリング
人工壁でのボルダリング(クライミングジム「ピラニア」)
 ほかのスポーツをされている人はご存じでしょうが、最近ではウェイトトレーニングをやり、筋肉を付けてからというのは流行っていません。動きを覚えさせる中で、動きに応じた神経を発達させて、それに応じて力が後からついてくるというのが主流です。

 例えばボルダリング(*1)で「ウェイトオフ」といって、後ろから支えて絶対に落ちないようにしてムーブ(*2)を習得させる方法があります。後ろから支えてこうやって取るんだよ、身体をこうひねるんだよと教えます。体重の負荷のない状態で正しい動きを習得してから、だんだん補助を減らしていく。このようなトレーニング方法をやれば、クライミングの限界は5.16(*3)まで行くのではないかと私的には思います。

 まず、神経系を鍛えよということです。『クライマーズ・ボディ』は42ページの「運動神経系の発達」というところにあるのですが、一般的な意味での運動神経ではなく、そのスキルに見合った神経系を発達させよと。いい動きをすればいい運動神経が発達するけど、悪い動きをすれば悪い運動神経が発達するのです。

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