自宅にトレーニングルームを作ったのは中2のとき。野口さんの実家は牧場を経営しており、敷地には余裕がある。父の健司さんが牛舎を改造して作ったというトレーニングルームは改装・増築を加えた結果、街中の営業ジムより広くなり、日本で1番広いプライベートジムとすら言われている。
クライミングのトレーニングは、一にも二にも登ること。実際に壁に取り付いていなければ上手にはなれない。自宅にいつでも使えるジムがあるということは、野口さんの上達にとってどれだけ大きなプラスであったことだろうか。
「父は肩を痛めてしまい、自分ではもうクライミングはやらないのですが、トレーニングメニューを作ってくれたり、コンペではビデオ撮影して研究して、私の悪いポイントを指摘してくれたりします。マンツーマンのコーチのように手取り足取り指導するという関係ではなく、手助けしてくれるという感じです。だけど精神的にも経済的にも、ものすごく支えてくれています」
最近のトレーニングメニューとしては、家のトレーニングルームでは3、4時間ほど登り、その後は筋トレというのが基本。健司さんや2年連続ボルダリング年間チャンピオンの渡辺数馬さんなどが課題を設定している。ウォーミングアップに使う一番やさしい課題が5.12台から。ほとんどは5.14台なので、さすがにまだ登れていない課題ばかりだという。
家以外ではつくばスポーレ、船橋ロッキー、川崎のPUMP2号店、横浜のB-PUMP2などをホームグラウンドとしている。PUMP2号店など遠くまで行く日は朝早くから夜疲れるまで、ずっと登っている。
どのようなスポーツでも言えることだが、トレーニングで大事なのはメリハリを付け、その日の目標・目的を決めることだ。難しい課題をターゲットに本気トライする日、新しい課題でオンサイトを狙う日、難しい課題はやらずに5.12台を20本登る日など、日によって内容を変えている。もちろん、コンペ前とオフシーズンではメニューの組み立て方も違ってくる。
家の課題は難しいのが多いので、本気トライが中心となる。船橋ロッキーでは毎回新しいボルダー課題や重りを付けての加重トレや筋トレ。PUMP2号店では5.13台のオンサイトを狙うか、5.12台を20本登るなどといった感じでわけている。いくら自宅トレーニングルームが広く、高さがあるといっても、やはりボルダリング用の壁。前傾壁で15mの高さがあり、ワールドカップ級の課題が練習できるPUMP2号店のようなわけにはいかない。つくばスポーレも高い前傾壁があるのだが、パートナーの関係でボルダリングの練習がメインになる。クライミング以外では懸垂、キャンパシング、腹筋、腕立てなどクライミング向けの筋トレにジョギング。ジョギングは1日30分ぐらいやっている。
「一人だとペースが乱れるので、父に自転車で併走してもらいながら近所を走っています。本当は昼間の方がいいのですが、父の仕事が終わってからなので、夜遅くなってしまいます」
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