ボルダリング世界チャンピオン 野口啓代 インタビュー 3

Team PowerNavi 野口啓代 インタビュー

できるだけ自炊し、栄養バランスに注意している

高校生時代にはお菓子だけで1日の食事を済ませるなど、あまり栄養には関心が無かった野口選手だが、さすがにトッププロになってからは肉や魚、野菜をバランス良く食べるようになり、自炊も多くなったという。

野口啓代

「年齢的なものもあると思います。中高生の頃は筋肉も少なかったし、体重変動もあまりなかったです。筋肉が少なくて脂肪も付きにくく、筋肉が増えることも考えてなく。保持力や軽さで登っていたので、ぜんぜん気にならなかったので。筋トレ始めたら体重が増えたので、食事にすごく気をつけるようになりました」

今回、ワールドカップ中のオンシーズンと、冬場のオフシーズンにおける食事メニューもいただいた。

オフシーズン 冬トレーニング
朝食牛乳、パン1枚、ヨーグルト、フルーツ(バナナ、りんご、キウィなど)
昼食パンやおにぎり、家にあるもの、手軽に食べられるもの
夕食自炊、野菜、味噌汁、肉か魚
オンシーズン 大会中
朝食牛乳、パン1枚、ヨーグルト、フルーツ(バナナ、りんご、キウィなど)
昼食おにぎり1個(ヨーロッパの場合はパン)、スポーツドリンク、PowerBar
夕食野菜、味噌汁、肉か魚、アイス♡(炭水化物はなるべく食べない)

「私はオンもオフもそんなに食べ物変わってないです。なるべく自炊するように心がけてはいるのですが、日本にいるといろいろ雑用もあり、スーパーやコンビニで買ってきたもので済ませてしまうことも多いです。ヨーロッパではアパート生活になるので、かえって自炊する時間が取れます。もっともワールドカップ大会中は自炊する余裕もないので外食したり、スーパーで売っている簡単な食べることが多いですね」

プロアスリートやオリンピック選手だと、栄養士がついて栄養指導をすることも多いが、満足にコーチもいないクライミングでは望むべくもない。

「食事のメニューは自分で考えています。特にサポートが欲しいと思ったことはないですね。クライマーって、他のスポーツと比べてあまり食べないじゃないですか。たぶん消費カロリーが他のスポーツより少ないと思うので、普通のスポーツ選手並みにしっかり食べていたらすぐ太ってしまうと思います」

確かに、クライミング中は動いているよりも止まっている時間の方が長い。問題は、その一瞬の動くときのパワーや保持力だったりするのだが、少なくとも有酸素運動とは言えない。夜はなるべく炭水化物を摂らないようにしているという。やはり体重のことは気になるのだろう。現在の体脂肪率について聞いてみた。

「体脂肪率を含め、年に1回、国立スポーツ科学センター(JISS)でさまざまな測定をするのですが、1月に計ったときに体脂肪率が11%ぐらいでした。今はボルダーシーズンが終わって、のんびりしているのでたぶん増えていると思います」

それでも女性で11%というのは少ない。マラソン選手ぐらいだろうか。

「そのときは私もびっくりしました。でも、男子のクライマーとかもみんな少ないので。周りが少なすぎて・・・」