ボルダリング世界チャンピオン 野口啓代 インタビュー 2

Team PowerNavi 野口啓代 インタビュー

筋トレに力を入れ、5kg体重が増えた

ワールドカップの課題傾向が変わってきたが、それに対応できなかったという。また、彼女は2012年ごろから筋トレに力を入れるようになっていた。

「2012年ぐらいから冬場のトレーニングメニューに筋トレを入れました。ただ、筋肉もついたけれど体重も増えてしまって、筋肉と脂肪、合わせて5kgぐらい増えました。その結果、肩や指を痛めることもありました 」

フジテレビの『vs 嵐』に出演し、クリフクライムを登って相葉雅紀さんに「すごいせな筋」と言われた広背筋だ。以前の野口選手はほっそりとした体型で、長い手足のリーチと柔軟性を武器にして登っている感じがあった。だが、世界のトップに君臨するためには欠けている部分、つまり筋肉を増やす必要があったのだろう。どんな筋トレをやったのか。

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「スポーツジムに通って、クライミングにあまり関係ないベンチプレスやスクワットなどウェイトトレーニングがメインでした。ヨーロッパの強豪選手が筋トレをしていたし、自分に筋肉が少なく、軽さで登っていたのを、自分の弱点を筋トレで補おうと。間違っていたとは思いませんが、筋トレの比重が高くなりすぎ、クライミングの時間が短くなってしまったこともあります。結果的にプラスもあったけれど、マイナスだったところもあって、すごく難しいなと。これだけ大きなトレーニングの変化があって、1年で結果を出すのは難しかったです」

2012年、13年はクライミングであまり芳しい結果を出すことはできなかった。トレーニングを変えた助走期間だったのだろうか。

「筋トレがあって今が良くなったか、結果的にわからないけれど、その時の経験を今に行かせているとは思います。それまで自分は筋肉がつきにくいと思っていたのですが、筋トレをやり出したらすごい筋肉がつきました。普通の人の倍ぐらいのスピードで筋肉が増えたんじゃないでしょうか。私は身体が変化しやすいんですね。自分の身体やトレーニングの内容を考えるきっかけにはなりました」